#CSC <Cyber Security Club>

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#CSC|第1章【空】vol.3

その日は日差しの強い暑い日だった…。

 

冷たい麦茶をマイボトルに入れ、昨夜作ったiTunesのプレイリストをiPhone7plusで再生し付属品のイヤホンで聴きながら散歩へと出掛けた。早くAir Podsが欲しい…。

 

実は年甲斐もなく、"赤いiPhone"を使っている。

 

そう。iPhone7plus (PRODUCT)REDだ。

 

256GBだが、ただ単に"大は小を兼ねる"という理由だけだ。通話を殆ど利用しない私にとっては、耳元で"赤"をアピールする機会も少ないが『世界エイズ結核マラリア対策基金(グローバルファンド)』に寄付されるという事なら、年寄りが"赤いiPhone"を使っていても其れ程恥ずかしがる事はなかろう。

 

橋を渡り左に曲がると河川敷へと下りるスロープがある。そこを下っていくといつもの川沿いの公園が見えてくる。

 

そのスロープを下り始めた頃、イヤホンから聴こえてきたのが井筒昭雄のLOG INだ。

 

この曲は"あるドラマ"の挿入歌で、私はそのドラマが好きだった。もう、だいぶ前のドラマだが…。

 

そして、ドラマの様々なシーンを思い出しながらLOG INを聴きながら公園へ向かった…。

 

彼…スカイは居ないかと…

 

すると突然よろめくようにバランスを崩した。

 

【ドン!】

 

<痛い!>

<あっ…すいません!ついよそ見をしてしまって>

 

私はスカイの事ばかり考えてよそ見をして歩いていた為、キャリアウーマン風の細身の女性とぶつかってしまった。暑さの仕業だろう、あまり見かけないサテンブラウスの胸元を少し開けたそのロングヘアの女性は持っていたA4サイズ程の封筒を落としてしまい、私が拾おうとしたら慌てて直ぐに拾った。

 

《よほど大事な会議資料か何かだろうか…かなり慌てた様子だったな…》

 

ともあれ直ぐに謝り、決まり文句のように《お怪我はありませんか?》などと言ったがあまり彼女が綺麗な女性だった為に、正直、言葉を失っていた。

 

彼女は何も言わず、軽く頭を下げただけで足早に去って行った。

 

私もきちんとお詫びの言葉を発し、その場を後にした…

 

20mくらい歩いただろうか…

 

ふと、彼女が気になり後ろを振り返った。

 

綺麗な女性に年甲斐もなく色めき立った訳ではない。何故だか気になったのだ。

 

片方のイヤホンをそっと外し、足早に去って行く女性の後ろ姿を見ながらふと思った…

 

【彼女とは何故かまた会える気がする】と…

 

そんな根拠のない事を考えながらいつもの公園に来た時…私は全身に電気が走るような感覚と得体の知れない動悸に見舞われた…

 

目線の先にあるベンチには…

 

居た!!!

 

スカイが座っていたのだ!!

 

まるで、周囲は彼の存在に気付いていないかのようだった。様々な人の流れがあるその公園で、まるで彼と私だけが別次元に居るように動きが止まっている。まさにバーチャルリアリティのようだった…

 

『や…やぁ…また会ったね』

 

彼はそっとラップトップを閉じた。

 

そして…こう言った。

 

『これから少しお時間ありますか?伝えたい事があります』

 

私はこの瞬間から、時刻を確認するのをやめた。 

 

 

『あぁ。もちろん!』

 

 

 

そして彼と私はゆっくりと歩き始めた…

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